●公明党 松葉ひろみ議員
松葉ひろみ議員:
2項目め、中学校給食センターの整備についてでございます。昨年9月、市長から、「中学校給食の新たな提供方式について検討を進める」とのご答弁をいただいてから、1年余りが経ちました。
この間、様々ご提案をさせていただきました。スピード感をもって進めていく、とのお言葉どおり、食と健康づくりの拠点をコンセプトとした、センター方式での中学校全員給食実現に向け、様々ご検討いただいているところであります。
「(仮称)町田市中学校給食センター整備基本計画」策定に向けて、給食センター整備の基本的な考え方がまとまったのか、また、令和3年6月定例会のわが会派7番議員の質問の中で、「PFI導入可能性調査を行う」とのことでしたが、事業手法の進捗状況についてもお伺い致します。
また、各給食センターの担当する学校と調理食数について決定したのかどうか。堺地区については、先ほどご答弁ありましたが、センター計画地の旧忠生第六小学校からかなりの距離があると思います。温かい給食を届けるという観点から、近隣の学校の給食室を活用することも視野に入れてもよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
そして皆さんの一番の関心は、いつから給食が開始されるのかということです。給食センターがそれぞれ稼働するまでのスケジュール、各エリアで給食が開始となる時期はいつか、見込みは立てられたのか伺います。
(1)現在の状況は。(2)各給食センターの担当する学校と調理食数は決まったか。(3)今後のスケジュールは。
石阪市長:
私のほうから、項目2番目「中学校給食センターの整備について」にお答えいたします。
まず(1)についてございますが、給食センター整備の基本的な考え方と事業手法に関する現在の検討状況についてご質問をいただいておりますので、これらの点についてお答えさせていただきます。これまで中学校の全員給食で目指す姿や、給食センターの基本性能、あるいは配置計画、さらには運営の工夫点などにつきまして検討を重ねてまいりました。
そして昨日ですが、12月1日に、中学校給食センターの整備に関する基本的な考え方をまとめたところであります。その中で、中学校給食センターを目指していく姿を、一つは「魅力的でおいしい給食を中学生たちに届けること」。二つ目に、「地域と繋がり合い、新しい価値を生み出し続けること」。この二つの柱からなる、「食を通じたみんなの健康づくり拠点」と設定をいたしました。
まず一つ目の柱の「魅力的でおいしい給食を中学生たちに届けること」につきましては、衛生的な調理環境の確保、これはもちろんのことですが、町田市の給食ならではの手作りメニューの開発、また地場産野菜の積極的な活用、アレルギー専用食提供のための環境づくり、生徒に負担の少ない配膳方法、給食を活用した多彩な食育など、多面的に取り組むこととしております。
もう一つ、二つ目の柱の「地域と繋がり合い、新しい価値を生み出し続けること」につきましては、中学生に限らず、多くの人が給食を食べる機会や、食に関する学び・体験の機会を積極的に設けることで、給食センターが地域の健康増進の中心となる。そのことを目指してまいります。
また、これらに加えまして、災害時にも食を通して地域に貢献できる施設としてまいります。このように新しい給食センターが、食を通じたみんなの健康づくり拠点として地域に根ざした施設となるためには、民間事業者の柔軟な発想や事業展開力を取り入れ、より魅力的な事業へと具体化をしていくことが重要となります。
このため給食センターの整備運営には、官民連携手法の導入が有効であると考えております。既に給食調理、あるいは建設関係などの事業者へのヒアリングを実施しておりまして、事業手法の検討を行っております。その中で、PFI手法を活用することの有効性を確認しております。
このPFI手法は、他市の給食センターでも多く活用されている手法でありました。施設の計画、設計から整備、運営までを長期的に一貫して取り組むことができます。この手法は、早期に建設を稼働させ、かつ安定的を率的な運営ができる手法といえます。また、民間事業者の創意工夫により、全体の事業費を5%程度削減する効果も期待できることが試算をしております。
町田市におきましては、PFI手法はこれまでには実績のない、官民連携手法ではございますが、今回の給食センター整備に当たりまして、他市の事例も参考にしながら取り組んでまいりたいと考えております。
なお、金井スポーツ広場に設ける給食センターは、10年間程度の時限的な施設となるため、PFI手法ではなく、リース手法による、より効率的な整備をしていく予定でございます。
次に(2)についてございますが、国の定める学校教育衛生管理基準によりますと、学校給食は、調理後2時間以内に喫食することができるようにする必要があるとされております。市では、作りたての温かい給食を中学生たちに届けるために、3つの給食センターを配置いたしました。各学校におおむね30分以内で配送できる環境を整えることといたしました。
3つの給食センターがそれぞれ担当するエリアと、調理食数についてでございますが、まず、旧忠生第六小学校に設ける給食センターは、町田第一、町田第二、町田第三、木曽、山崎、忠生、小山田、小山、以上8つの中学校を担当し、約5000食を調理できる給食センターといたします。
次に、南成瀬東光寺公園調整池上に設ける給食センターは、南大谷、南成瀬、成瀬台、南、つくし野の5つの中学校の約3500食を担当いたします。
そして金井スポーツ広場に設ける給食センターは、鶴川、鶴川第二、真光寺、薬師、金井の5つの中学校の約3000食を担当いたします。
なお堺地区につきましては、地形上、地勢上といいましょうか、その特性を踏まえて、将来の新たな学校づくりの取り組みを通じまして、堺地区ならではの小中学校における給食施設のあり方を検討する必要があると考えております。それまでの間、堺中学校には、中学校への給食提供の実績があり、2019年度に給食室を改修したばかりのゆくのき学園から提供をしてまいります。以上によりまして、市内中学校20校の全員給食を実施することといたします。
最後に、(3)についてでございます。このたびまとめました、中学校給食センターの整備の基本的な考え方につきまして、来年1月から市民の皆様への意見公募を行った上で、来年2022年3月までに、「(仮称)中学校給食センター整備基本計画」として取りまとめ、公表する予定でございます。
来年度、2022年度は3つの給食センターとも、事業者の公募手続きを進め、順次施設の整備に着手する予定でございます。各給食センターの稼働時期についてでございますが、各センターが竣工できるタイミングがそれぞれ異なるため、給食センターの稼働と全員給食の開始はエリアによって異なることになります。
まず2024年度の2学期に、金井スポーツ広場に設ける給食センターを稼働させるとともに、ゆくのき学園の給食室を一部再改修いたしまして、鶴川エリアと堺エリアでの給食の提供を開始をいたします。
続いて、2025年度の1学期から、旧忠生第六小学校に設ける給食センターから届ける町田・忠生・小山エリアで、また2025年度の2学期からは、東光寺公園調整池に設ける給食センターから届ける南エリアで、それぞれ給食の提供開始をいたしまして、町田市における中学校全員給食の導入を完了させる予定でございます。
これらの給食センターの稼働までの間、中学生たちと一緒に、例えば献立を考えたり、食器の色模様を選んだりするなど、様々な準備をしてまいりたいと考えております。
全員給食の導入につきましては、引き続きスピード感を持って取り組んでまいります。その他の項目につきましては、担当からお答えいたします。
松葉議員(再質問):
市長答弁ありがとうございました。町田市の中学校給食センターが目指していく姿を二つ、「魅力的でおいしい給食を中学生たちに届ける」と「地域と繋がり合い、新しい価値を生み出し続ける」の二つの柱立てからなる、食を通じたみんなの健康づくり拠点とするとのことでした。まずこの一つ目の柱、「魅力的でおいしい給食を提供」ということについて、以前から議論されていた点についていくつか確認をさせていただきたいと思います、まずは食物アレルギー対応について、どのような対応方法を検討しているのかお聞かせください。
学校教育部長:
はい。食物アレルギー対応に関しましては、アレルギーを持つ生徒向けに、主たるアレルギー食材を除去した専用の献立を用意し、食物アレルギーでなくても、おいしく栄養満点の給食を毎日食べられるようにしたいと考えております。
アレルギー専用食は、通常食を調理する作業動線としっかり分離されていることが重要になります。区画された専用調理室で調理し、1人ずつ専用の食器に入れてお届けするとともに、食材の搬入から調理、容器の洗浄まで、すべてが安全に管理された作業動線となるよう、注意を払って計画してまいります。
松葉議員:
ありがとうございます。単なる除去食ではなく専用の献立も用意して、作業動線も分離するということでしたので、これにつきましては安全第一で進めていただければというふうに思います。
次に学校での配膳作業についてですけれども、エレベーター設置予定のない学校もあると思いますが、どのような方法を考えているのかお聞かせください。
学校教育部長:
はい。給食センターから温かい状態そのままで給食を届けるために、断熱食缶というかなり重要のある食缶を用いる予定です。ですので学校に届いた食器と食缶は専用の配膳スタッフ、それがクラスごとに分けて、教室のある各階まで届ける方向で検討しております。
来年度以降、各中学校では、バリアフリー化工事としてエレベーターの設置を進めていく予定ですが、町田第三、薬師、山崎、金井の4の中学校は新たな学校づくりを控えて、エレベーター設置は行わない予定になっております。また、南成瀬中学校は2031年度に完了する予定の中規模改修時にエレベーター設置を行う予定なので、全員給食導入時点ではエレベーターが設置されていない状況となります。
このように学校ごとに状況が異なりますが、全ての学校で配膳スタッフがエレベーターや階段を使って教室にある階まで運ぶ予定でございます。
松葉議員:
イメージが湧きましたのでありがとうございます。それからもう一点、中学校の昼食時間ですね。これも今まで非常に短いということが指摘されてきました。全員給食となれば、盛り付けや片付けの時間を含めてしっかりと昼食時間を確保するべきと思いますけれども、この点について検討されているのかも確認させていただきたいと思います。
学校教育部長:
はい。食缶方式を採用しますので、クラス内では生徒自身で配膳し、食後はクラスごとにまとめて片付けるということになります。これらの作業に加えて、しっかりと給食を味わうための給食時間、それを確保できるよう、今後調整してまいります。
松葉議員:
はい。給食時間が長くなっても、その「配膳時間の分だけが長くなった」っていうことがないように、食事時間についての確保もしっかりとお願いをしたいと思います。
それから二つ目の柱の「地域と繋がり合い、新しい価値を生み出し続ける」というコンセプトに加えて、わが会派がずっと提案し続けてきた、災害時にも食を通して地域に貢献できる施設として活躍してほしいと期待するところでございます。この災害時に食を提供できる機能としては、食を中心とした防災備蓄を行うのがよいと思いますけれども、その中に液体ミルクですね、以前から議論ありましたけれども、液体ミルクの備蓄についても御検討いただきたいと思いますがいかがでしょうか。
学校教育部長:
はい。給食センターが災害時に発揮する機能につきましては、今後関係部署と協議しつつ、事業者提案も得ながら検討してまいりたいと考えております。
松葉議員:
以前この液体ミルクの備蓄について提案させていただいたときにはですね、備蓄倉庫では温度管理が難しいというようなことが一つ理由だったというふうに記憶をしております。食の拠点というところでもありますので、そういった視点も併せてご検討いただきたいと思います。
次に事業手法についてもう少し伺いたいと思いますが、事業費の削減効果が5%程度あったということですけれども、具体的にどのような検討を行ったのか、お聞かせください。
学校教育部長:
はい。先ほど答弁いたしました給食センターの規模、調理食数と、全国の給食センター事例をもとに、従来通り行政が主体となり施設の整備運営を行った場合と、PFI手法によって行った場合、それの事業費を比較検討いたしました。
検討には「バリューフォーマネー」という市の支払い――こちらマネーですが――それに対して最も高い価値、バリューのあるサービスを提供・供給できる手法かを検討する、そういう指標を用いました。
あわせてPFI手法を活用した全国の給食センターでは、BTO方式という――こちらは施設整備、つまりビルドのBですね。こちらのBと、施設整備が完了した後、運営前に施設の所有権を市に移管する――こちらはトランスファーでTといいますが、その移管を行って、その後に民間が運営を行う。これがオペレーションのOでBTO方式というんですが、こうした一連の過程で事業が行われる方式が多く採用されております。
また、事業期間は長期に安定的運営が行える機関として施設稼働後15年間とされている事例が多く、町田市でも稼働後15年間を事業期間としたBTO方式によるPFI手法とした場合と設定して、検討を行いました。
旧忠生第六小学校に設けますセンターでは、従来手法による事業費、こちら施設整備費と15年間分の運営費の合計は約82億7000万円。これがPFI手法を行いますと、約78億4000万円と試算されまして、約4億3000万円の事業費削減効果が確認できました。東光寺公園調整池、そちらのほうに設けるセンターでは、同じく従来手法ですと約66億6000万円、それがPFI手法では約63億円と、約3億6000万円の削減効果が確認できました。
今後もさらに検討を深めまして、施設のスリム化と効率的な運営のための工夫、その両面から事業費削減策を最大限に講じてまいりたいと考えております。
松葉議員:
ご丁寧な説明、ありがとうございました。このPFI手法というのは町田市としては取り組んだことのない手法でありますので、この機にぜひチャレンジしてほしいと思います。また子どもたちにおいしい給食を届けつつ、事業費もできるだけ削減するということも、とても重要であるというふうに考えます。どのような工夫の可能性があるのか、またイメージしていることがあればお聞かせいただきたいと思います。
学校教育部長:
はい。給食センターはですね、一般の調理工場と比べまして、稼働率が低いということは言われております。PFIなど管理連携手法の活用によりまして、その地域に配食をしたりですね、長期休暇期間、それを使って稼働率の向上に繋げる、そういう事業展開を図ることで、運営コストがさらに削減できるものと考えております。
例えば夏休み期間中ですね、学童保育クラブへの給食提供、そういうことができるのかどうか。そういうことも考えて、稼働率向上のための有効な取り組み策の一つと考えていきます。同じく夏休みに旬の夏野菜、それをまとめて一次加工して2学期以降に小中学校の給食で活用すれば、季節野菜の有効活用、それとセンターの稼働率向上の両方が叶う魅力的な取り組みとなると思っております。
運営上の改善の余地は大いにあると考えておりますので、今後も引き続き検討を深めてまいります。
松葉議員:
ありがとうございました。長期休暇中の学童保育クラブへの給食提供については、これまでも要望させていただきましたし、稼働率を上げる上では有効な取り組みかなというふうに思っております。あと旬の野菜の活用という点では、地場産の野菜を使用して地産地消の取り組みで農家さんを盛り上げることにも繋がると思います。
また、農家さんならではの調理方法を伝授していただくなど、そういったふれあいの場なども考えられるのではないかなというふうに思います。引き続き多角的な視点での、魅力ある施設になるように検討をお願いして今回の一般質問は終わります。ありがとうございました。
(了)
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