(内閣官房「こども未来戦略会議(第3回)」文部科学大臣提出資料より)
3/16 田中美穂議員
田中議員:
小中学校給食の充実と保護者負担の軽減を求めて
(1)給食費について今後の検討予定を問う。
(2)2022年度のように物価高騰分の公費負担をすべきだがどうか。
(3)小学校給食費の無償化を行うべきだがどうか。
(4)中学校全員給食実施に伴う栄養士の配置についてどのような検討がされたか。
(5)小中学校9年間を通しての食育の充実、アレルギー対応の確実な実施、教員の負担軽
減のため、各校に栄養士の配置が必要だがどうか。
学校教育部長:
(1)については、2022年9月に町田市学校給食問題協議会で学校給食費について諮問。2023年3月から、同協議会で協議を行っていただく予定。
(2)については、2022年度には保護者負担を設けず、臨時負担金で実施。今後も食材価格の動向や国や都の補助制度を注視していく。
(3)については、給食費は学校給食法に基づき保護者の方にご負担いただくものと認識しているため、無償は考えていない。
(4)(5)については、センター方式で中学校全員給食を実施した場合の給食関係業務を調べ、それぞれの業務について中学校及び給食センターでの役割分担を検討した。その結果、栄養士は給食センターに配置したほうが有効であることを確認した。
食育の充実や確実なアレルギー対応は、中学校の教員と給食センターに配置した栄養士が連携することによって実施できると考えている。町田市では各中学校に栄養士を配置しない。
食育やアレルギー対応は生徒指導の一環として行うものであるため、栄養士を学校に配置するか否かに関わらず、教員が関わるべき重要な業務であると考えている。
田中議員(再質問):
給食費について。行政報告では8月に答申予定と書いてあったが、今後の状況を見ていきたい。今回給食費について諮問された理由を伺う。
学校教育部長:
現在、小学校給食・中学校給食を問わず物価高騰を背景に食材価格が上昇し、原油価格高騰を背景にして光熱費も上昇。学校給食の提供に要する経費が上昇している。また中学校給食が全員給食に切り替えることで、給食献立の内容や提供方法も大きく変わる。小学校給食・中学校給食において魅力的で充実した給食を継続して提供できるよう、適正な給食費を算出する必要があるため、学校給食問題協議会に諮問した。
田中議員:
物価の上昇などもあるということだった。協議はこれからということだが、給食費の引き上げという可能性もあるだろうと推察する。町田市は先ほど答弁にあったように今年度は物価上昇分の補填も行っているが、そうでない自治体では物価高騰の影響で給食の量や質が下がってしまったという話を聞いた。町田市がきちんと補填をされたことは本当に大事なことだが、食材費の上昇に伴って一食分の金額を引き上げていかなければ、給食の量や質が保てないというふうに思う。しかし、それを時価高騰や光熱費の影響を受けている保護者への負担を増やすのではなく、そのぶん補助などで補っていく必要があると思う。(2)とも関連して、今後の物価高騰分の公費負担については動向注視ということだったが、今年度物価高騰分の補助を行ったことについて現場などからはどのような声が上がっているか?
学校教育部長:
2022年度6月の補正予算において、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、食材価格の高騰分を増額した。この食材費の増額分を7月に各学校に配当した結果、給食現場からは年度当初には「年度後半に予算が不足するのでは」「このままでは外国産食材を使用し続けなければならない」といった不安な声が上がっていたが、現在はそのような声は上がっていない。
田中議員:
私もPTAの関連で子どもの学校の栄養士さんの話を聴く機会があったが、「小麦・油の値上げがあって大変だったが、補助があったため、その時々に提供したい献立や食材をちゃんと使うことができている。例えば、毎年やっている米の銘柄の食べ比べなども実施できた」と大変喜んで報告されていた。改めて、保護者負担を増やさずに給食の質や量を担保していくことを求めたいが、どうか。
学校教育部長:
先ほども答弁したが、この2022年度に活用した国の臨時交付金に関して2023年度の詳細が明らかになっていない。国や都の補助制度を今後も注視していく。
田中議員:
注視というところと、問題協議会での議論もよく見ていきたい。質や量を担保しながら保護者負担を増やさない対応をぜひ求めていきたい。
次に、無償化について。先ほどの答弁では学校給食法上、食材費は保護者負担と考えているということだった。12月議会でも、制度上、市が負担することは可能という答弁があったのと、文科省も学校給食法の規定は自治体の判断で全額補助を否定するものではないと答弁している。学校給食法を理由に無償化をやらないというのは、理由として成り立っていないと考える。制度上問題がないならば、なぜ町田市で無償化の実施が検討されていないのか。
学校教育部長:
給食費を無償化することは学校給食法上は問題はない。市の方針として、「給食費については学校給食法に基づき保護者の方にご負担いただくもの」と認識しているため、無償化は考えていない。
田中議員:
市の方針を強調されたかと思う。市の方針として判断すれば、逆に無償化もできると受け止めた。都内で無償化を行う自治体が増えていることを壇上でも紹介したが、23区・26市の状況についてお答えいただきたい。
学校教育部長:
こちらは、一部報道による情報にはなるが、都内で中央区・品川区・世田谷区・北区・台東区・荒川区・葛飾区では2023年度から小中学校の給食費を無償化し、また足立区では中学校給食費のみを無償化するということを把握している。また、練馬区では第二子以降に限って無償化するということ。多摩地域では、狛江市で第一子から小学校に在学している場合の第三子以降の給食費を無償化すると報道されたが、その他は給食費無償化を実施する方針を自治体はないと聞いている。
田中議員:
詳細をありがとうございました。来年度から多くの自治体が増えているというところ。町田市で全員無償化にした場合いくらかかるかということについても伺いたい。小学校・中学校でお答えいただきたい。また、26市でも狛江市のように多子世帯対象の無償化を行う自治体が出てきた中、町田市の場合第二子・第三子を無償化した場合の金額についてもお答えいただきたい。
学校教育部長:
小学校給食を無償化した場合、年間約11億円がかかる。今後中学校の全員給食を実施した場合、小学校給食と合わせると年間約17億円かかると想定している。また、狛江のような第一子から小学校に在学している場合の第二子および第三子以降の給食費を無償化した場合については、第二子以降も含めてすべての子どもが町田市小学校に在籍し第二子以降を無償化した場合、対象となる児童はおよそ4,500名で、年間約2億円が必要となると想定している。また、第三子以降も含めてすべての子どもが町田市小学校に在籍し第三子以降を無償化した場合、対象となる児童はおよそ320名で、年間約1千400万円が必要となると想定している。
田中議員:
仮に低学年・中学年・高学年ときょうだいが3人いた場合、年間185日で計算するとご家庭の負担は年額13万6,900円。多子世帯から3人目、2人目の無償化で家計負担を減らすということに大変大きな要因になってくると思う。こうした多子世帯からの無償化を検討していただきたい。
改めて、繰り返し話してきたことだが、給食は毎日の食育の生きた食材であり、子どもたちの現在の食の学びを支えるとともに、未来の健康的な食生活を支えるための大事な教材。それをもとに食育指導も行われている。給食指導は栄養教諭や栄養士、担任が学校で行うものとなっているので、教科書と同じように本来は憲法に則って無償にすべきもの。そのためには国も責任を果たさなくてはならない。国などに対して、給食費の保護者負担の軽減の要望というのは、何か行っているのか。
学校教育部長:
保護者負担の軽減については、2023年2月に全国都道府県教育委員会連合会から、「令和5年度以降における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び学校給食等への支援の継続等について(緊急要望)」という要望書が国に出されている。この要望書では、学校給食費について、「1、国全体として学校給食費等の負担の在り方を抜本的に整理した上で、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すこと。」「2、考え方の抜本的な整理に時間を要する場合は、令和5年度も引き続き、臨時交付金を継続し、臨時交付金の対象事業に、保護者の負担を軽減するための学校給食費等の支援を早急に位置付けること。」の2点が要望されている。
田中議員:
連合会のほうでも要望が出されているということで、無償化の実現のために私自身も声を上げていきたいし、世論をぜひ作っていきたい。
次に中学校給食の栄養士の配置について。検討の結果センターに配置するということだったが、何人程度配置することになるのか。小学校では各校に栄養士さんがいらして、町田市は都の基準よりも手厚く配置をしてくれているが、こうした栄養の配置について、給食問題協議会ではどのような意見が出されたか。
学校教育部長:
給食センター方式の場合の栄養士の配置基準になるが、東京都では生徒数2,500人以下で1人、5,000までが2人、1万人までが3人、10,001人以上が4人となっているので、4人の配置予定。協議会では、給食提供の際の異物混入などの事故への対応や食物アレルギー食の対応、保護者の相談先は誰になるのかといった声があった。異物混入などの事故への対応は学校教職員及びセンターの栄養士が、食物アレルギー食への対応は学校教職員が対応することを予定している。このことは多摩26市のうちセンター方式で学校給食を行っている自治体は、どの自治体でも学校に栄養士の配置はなく、学校教職員が組織的に対応しているという実例を紹介させていただいた。
田中議員:
東京都の基準をお示しいただいた。栄養士は4人の配置ということだったが、内訳としては町田市は3つの給食センターだが全体の人数でということになるのか。それぞれのセンターは5,000食以下になるが、その点もう一度確認させていただきたい。
学校教育部長:
訂正する。1箇所あたり2人ずつで合計6人の配置となる。
田中議員:
各センターに2人ずつとわかった。多摩地域でセンター給食では各校への栄養士配置はないということだが、以前も紹介したが、調布市では親子方式であるが非常勤の栄養士の方が配置されていて、アレルギー対応の生徒さんに適切な給食になっているかあるいはお弁当になっているかをクラスを回って確認されていた。食育について全員給食を前提に9年間の食育計画を今後策定されると思う。生きた教材の給食を活かしていくために栄養士の役割は大きいと考える。各センターに2人では、例えば中学校に出向いて指導できるのはどれくらいの頻度なのか、という思いもある。運営協議会の中でも出ていたが、小学校の自校式給食で身近に調理員を見たり、調理の香りで給食を楽しみにできる環境で過ごしてきた子どもたちが、センターからでは調理が大変遠くなってしまう。誰が作っているかどんなふうに作っているか、伝わるような工夫をしていただきたいと思う。学校現場では全員給食に向けての体制作りも始まっていると聞いている。現場からはどのような声が上がっているか。
学校教育部長:
学校現場というか今後給食をやっていくうえで全員給食の運営検討委員会というものを設置している。こちらには特に心配な声というものはなく、いかに円滑に給食を運営していくかについての意見があった。
田中議員:
そういった体制づくりをされているということだが、実際には養護教諭の方から「通常業務もある中で、アレルギー対応などの新たな仕組みづくりをするのが大きな負担となってしまっている」という話も聞いている。そうした現場の状況に気を配っていただき、管理職もそうした理解をしていただきたい。また状況を見ながら栄養士の配置の見直しや増員をしていただきたい。
3/20 秋田しづか議員
秋田議員:
1.小学校給食調理室の暑さ対策について、現状および今後の取り組みは。
学校教育部長:
夏場の小学校給食室内の温度は30℃を超える場合がある。その対策として空調機の設置を進めており、18校の調理室に設置した。設置していない24校の調理室には、移動式の簡易クーラーをすべてに配置。そのうち6校には2台以上設置して暑さ対策を行っている。
24校のうち、今後10年程度で建て替え・統合の予定のない11校には、おおむね年2校のペースで空調機を設置していく。今後10年程度で建て替え・統合予定の13校には、空調機設置で不要になった移動式簡易クーラーの移設などの対応を行っていく。
秋田議員(再質問):
給食室を管理する規則が2つある。1つは、労働安全規則第5章、温度及び湿度、第606条温湿度調整。2つめは学校給食衛生管理基準の第2(3)の3。これには温度25℃以下、湿度80%以下と明確に記述されている。今後についても年2校ずつ順番に整備いただけるということだが、冒頭に申し上げた「スポットクーラーを1台増やしてほしい」という要望に対しても数年待っていただかなくてはならない学校が複数ある。熱中症の危険性も非常に高く、八王子市のように緊急搬送となることのないよう、スポットクーラーの増設を待っている学校にも何らかの代替措置を検討いただくよう強く要望したい。
3/22 渡辺さとし議員
渡辺議員:
2.子どもの食の充実に向けた取り組みについて。
学校給食の無償化については、エネルギー価格・物価高騰への緊急対応のため小中学校の給食費無償化をする自治体が増えている。保護者の経済負担が増加している状況であることから、給食費無償化の重要性が広がってきている。自治体により給食費の扱いが異なることが顕在化してきており、地域の事情によって子どもの権利が分断されることがあってはならず、すべての子どもに等しく対応すべきと考える。市の教育・子育てへの考え方を変える時期に来ているのではないか。本来給食無償化は国が率先してやるべきだが、そうでなくとも、自治体でもやれることがあるはずだと考える。
(1)学校給食無償化に対する市の考えは。
(2)子どもの食の権利を守るための市の取り組みは。
学校教育部長:
給食費は学校給食法に基づき保護者の方にご負担いただくものと考えているため、無償化は考えていない。
(2)については、学校給食に対する支援について2つ制度がある。1つは経済的にお困りの、生活保護や生活保護に準ずるご家庭に対し、小学校及び中学校の授業や行事で必要な教材費、給食費、修学旅行費などを支給する就学援助費制度がある。ただし生活保護を受給されているご家庭の給食費は、生活保護費から支給されている。もう1つは、特別支援学級に在籍する児童及び生徒のご家庭を対象に、授業や行事で必要な教材費、給食費、修学旅行費などを支給する就学奨励費制度がある。これらの申請については、毎年度入学式及び始業式の翌日以降に児童生徒全員に対し申請書と案内を配布している。小学生の就学援助費制度の受給率は、2019年度は12.9%。2020・2021年度はいずれも12.6%。中学生の就学援助費制度の受給率は、2019年度は16.1%。2020度は16%。2021年度は16.1%となっている。
渡辺議員(再質問):
これまでも多くの議員の方々が答弁いただいてきた学校給食法に関するご答弁だったと思う。まずは原価のエネルギー価格・物価高騰時の話だが、帝国データバンクは国内の食品・飲料メーカー195社を対象に、2月末時点で値上げの動きをまとめている。それによると、今月値上げされる食品や飲料は、再値上げや価格を変えずに内容を減らす実質値上げを含め、3442品目となっている。さらに来月には、品目の数は4892品目に上る。調査会社では、値上げラッシュとなった今月の5528品目に続いて4月は値上げラッシュとなる見込みとしている。今年すでに値上げされた商品は15,800品目を超え、値上げペースは去年よりも加速している。さらに6月には電気料金も値上がりの可能性があり、家計への負担は引き続き重くなっていくと見られている。
こうした状況を考慮し、時限的に学校給食を無償化する自治体が出てきている。2/20のNHK調査を見ると、すでに無償化している町村部に加え、新年度無償化する方針の都内自治体は8区。中央区・台東区・品川区・世田谷区・北区・荒川区・葛飾区。加えて足立区は中学校の給食を無償化する方針。すべて理由は物価高対策、保護者負担の低減や子育て支援ということだった。それらを目的として、市でも時限的に給食費の無償化を考えるべきだと思うが、所見をお伺いする。
学校教育部長:
仮に時限的であったとしても、給食費については学校給食法に基づき保護者の方にご負担いただくものと認識しているため、給食費の無償化は考えていない。
渡辺議員:
物価高対策としても給食費についてはなかなか無償化は難しいと、そういったご答弁だったかと思う。先ほど紹介した東京都区部の事例なども踏まえて、最近は給食無償化する自治体の増加は、テレビ・新聞でも「学校給食に自治体間格差」という見出しでの報道が非常に多く見受けられるようになった。先日私が見た朝の情報番組ではフリップボードが作成され、先ほど紹介した都区部の無償化事例とともに、「給食無償化予定なし」という項目に町田市が明記されていた。この番組をご覧になった市民の皆さんは町田市の子育て政策にどのような思いを持たれるのか、ぜひ想像していただきたいと思う。
3/1、参議院予算委員会で野党議員に給食費無償化を問われた岸田総理は、「学校給食の無償化については既に地域の実情に応じて実施している自治体もあり、学校給食法の趣旨を踏まえて学校設置者である自治体において対応いただいている」と、学校給食における自治体間格差についてこのように答弁されている。この答弁を引用すれば、市は地域の実情――すなわち「原価の物価高騰も含めた市民生活に大きな影響はない」とお考えなのでしょうか。
学校給食法は昭和29年に制定されたもの、当然今とは時代背景も違う。財務省が昭和45年から統計をとっている国民負担率。これは法人や企業の所得に占める税金や年金や健康保険、介護保険など、社会保険料の負担割合を示すもの。これが高ければ高いほど家庭で自由に使えるお金が少ないということになる。統計開始時の昭和45年の国民負担率は24.3%。給料の75%は家庭で使えたことになる。では今はどうかというと、令和4年度の国民負担率は46.5%。つまり、現在は給料の半分程度しか手元に残らないことになる。この数字を見れば、時代背景が違うのは一目瞭然。市として、学校給食における今後の報道で「学校給食無償化予定なし」と報道され続けることは、私は市のマイナスイメージになると思う。それでも市は、学校給食無償化の検討もしないのはなぜなのか。財源の問題なのかそれとも負担に関する考え方の問題なのか、どちらなのかお伺いさせていただく。
学校教育部長:
給食費については、学校給食法に基づき保護者の方にご負担いただくものというふうに認識しているため、給食費の無償化については考えていない。
渡辺議員:
今のご答弁でいくと、財源の問題ではなくてどちらかというと負担に関する考え方の問題だと言う答弁だったと私は理解させていただく。平成20年の改正学校給食法には、栄養教諭の行うべき指導として、「食品と健康の保持増進等の関連性について指導すること」「食に関して特別な配慮を必要とする児童生徒に対しては個別に指導すること」「学校給食を活用した、食に関する実践的な指導を行うこと」が挙げられている。この「教諭が行う指導」という部分を見ると、私は学校給食は授業の一環ではないかと考えている。憲法26条2項、教育基本法5条4項、学校教育法6条に基づき、国公立学校における義務教育は無償とされている。憲法では、子どもが教育を受ける権利を保障している。日本の学生では、6歳から15歳までの9年間がその期間とされ、まさに小学校中学校がその期間にあたる。その期間の教育は無償であり、授業は無償が担保され、教科書についても教科書無償給与制度により無償化されている。先ほど申し上げたとおり私は学校給食は授業の一環であり、授業は教育であるから当然無償化されるべきだと考えるが、市の学校給食の教育の中での位置づけをお伺いさせていただく。
学校教育部長:
学校給食は成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、栄養バランスのとれた豊かな食事を提供することにより、健康の増進や単位の向上を図ることに加え、学校教育において食に関する指導を効果的に進めるため、いわば食育に関する重要な教材であると考えている。
渡辺議員:
市は給食を食育に関する重要な教材だ、というふうに認識しているというご答弁だったと思う。私はどちらかというと授業・教科書として認識しているという側であるので、学校給食が無償化できるかできないかの分かれ目がまさに教材扱いするのか、授業扱いするのかといったところなのだと思う。
少し見方を変えていただきたいが、現金での子育て給付の際の議論になるが、ネグレクトなどの虐待のある家庭では、現金給付すると振り込まれたお金を親が作ってしまうのではないかという話が毎回出てくる。では、親が給付したお金を使いこみ給食費を滞納した場合、その家庭の子どもは給食を食べれなくても仕方がないと周りの大人は言うのだろうか。私は、学校給食法11条の「費用は親が負担すべき」という部分は、親が払えないのか払わないのか、そういったところを第三者が非常に正確に判断しづらい部分において決めるべきではないと考える。子どもの給食に差が生まれてはいけない。町田がさまざまな子育て政策を行い、子育てしやすいまちと評価され児童の転入率が増加傾向にあることは素晴らしいことと考えている。であれば、この給食費の扱いに関しても昨今の社会情勢を鑑み、ほかの自治体の施策研究を行うべきだと思う。そういった動きが多くの自治体から出てくることこそが、国の法改正を早める側面もあると考えている。学校給食無償化の話は、70年前に作られた法律をどう読むかという話ではなく、現代の子どもたちを取り巻くさまざまな環境の中で、公教育の中にあって誰一人取り残さず、格差を生まぬよう社会で子どもたちを支えていく。そういった話であると指摘をさせていただいて、(1)の再質問は終了させていただきたい。
次に(2)の再質問に移るが、先ほどの(1)でさせていただいた無償化への考え方と別の角度で質問をしていく。まずは就学援助に関して、市のホームページを見ると就学援助の申請に関して「申請書を配布してそれを学校への提出か役所への提出」ということで申請を行うと認識している。正直、この申請方法が学校への提出となると周りの目もあり、わが子が申請することによっていじめの対象になるのではないかという懸念から、申請できなかったという保護者の声もある。
就学援助の利用は基準を満たせば当然の権利であり、積極的に利用してほしい。そのメッセージが伝わりきらず、親や何かのきっかけで就学援助を受けていることを知った子どもにスティグマ感を与える可能性がある現在の申請方法。経済格差是正のための就学援助があるにもかかわらず、逆に心理的・精神的に格差意識を助長することになるおそれがある。市はさまざまな行政手続きのオンライン化の取り組みを進めている。就学援助に関する申請のオンライン化を検討すべきと思うが、いかがか。
学校教育部長:
町田市ではデジタル技術を活用した行政サービス改革を進めるため、「町田市デジタル化総合戦略2022」に基づき、行政手続きのオンライン化に取り組んでいる。議員ご指摘の就学援助制度のオンライン申請についても導入に向けて準備を進めていく。オンライン申請を導入することにより、就学援助を希望する保護者の利便性向上を図ることができると考えている。
渡辺議員:
オンライン申請の導入に向けて準備を進めていただけるという非常に前向きなご答弁だったと思う。この話は審査を緩くしてくれという話ではなくて、申請のハードルを下げてくれという話である。学校教育法でも「経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならない」とされており、申請のオンライン化を進めることによって、いわゆる子どもの貧困の現状をさらに正確に捕捉できると考えている。困窮家庭の捕捉率を上げていくことは、市の施策を策定するうえでも非常に重要である。このオンライン化の件、ぜひ整備を早めにしていただければと思う。
就学援助に該当する世帯の児童生徒以外にも、子育て支援として、いわゆる多子世帯支援を行っている自治体が複数存在する。今議会でも18番議員の質問にもあったが、再度のお尋ねで恐縮であるが、第二子を無償化した場合いくらかかるのか、第三子を無償化した場合いくらかかるのか、第四子以降を無償化した場合いくらかかるのかお伺いしたい。
学校教育部長:
第二子以降も含めてすべての子どもが町田市立小学校に在籍し第二子以降の給食費を無償化した場合、対象となる児童はおよそ4,500名で、年間約2億円の費用が必要となると想定している。第三子以降も含めてすべての子どもが町田市立小学校に在籍し第三子以降を無償化した場合、対象となる児童はおよそ320名で、年間約1,400万円が必要となると想定している。最後に第四子以降の場合も、すべての子どもが町田市立小学校に在籍し第四子以降を無償化した場合、対象となる児童はおよそ8名ほどで、年間約35万円くらいの費用になると想定している。
渡辺議員:
第二子以降を無償化した場合、費用は約2億円というご答弁だったと思う。少し古いデータで恐縮だが文科省の平成29年度の「学校給食費の無償化等の実施状況及び完全給食の実施状況の調査結果について」という報告を見ると、当時で多子世帯支援を行っているのは全国で104自治体。今年から無償化に踏み切った葛飾区も、そもそも中学生以下の子どもが三人以上いる場合、第三子以降の給食費を無償化していた。そのほか、時限的に4月から無償化を行う品川区は、所得制限付きで、第三子以降の給食費を実質無償化。北区は第二子分を半額補助、第三子以降を完全無償化。ほかにも、足立区は公立小中学校に通う子どもが三人以上いる場合、第三子以降の給食費を無償化し二人目半額。江戸川区は公立小中学校に通う子どもが三人以上いる場合、第三子以降の給食費を無償化。さらにこういった動きにあわせて、今年から練馬区でも第二子以降の支援を始めるということである。また千葉県でも、都道府県単位では全国で初めて、三人目以降の子どもたちの給食費を、市町村と費用を分担して無償化する事業を今年1月から県内全域でスタートさせている。今後この給食費の多子世帯支援については、事業化する自治体が増えてくると見込まれる。先ほどご答弁いただいた中身からすると、第三子以降の無償化であれば、コストとしてそこまで重くないのかと考えるか、まずは子育て支援策として第三子以降の無償化の取り組みだけでも行うべきと考えるが、いかがか。
学校教育部長:
現段階では第三子以降であっても、多子世帯の給食費を無償化することは考えていない。
渡辺議員:
第三子以降でもなかなか難しいという話であった。内閣府の少子化社会対策白書にも「給食支援」という記載はないものの、項目を設けて少子化対策の具体的な施策を紹介している。そういった意味では、多子世帯支援というのは学校給食の話とは別のベクトルで、少子化対策として考えなければいけない分野であると思う。ぜひ、ほかの自治体のこういった施策の制度研究を行っていただきたいと意見をさせていただく。
次の再質問では「食育の推進」という観点から学校給食を推進し補助を行っている自治体を例に、質問させていただきたい。港区では「食育推進献立」を作成し、給食費の補助を行っている。文京区ではイベント給食として「和食の日」を作り、その給食費の一部を補助している。墨田・荒川・板橋では食育推進給食を指定し、その費用を補助。練馬区でも給食に活用する地場産野菜の購入を補助している。
町田でも食育推進の観点からさまざまな取り組みを行っていると思うが、そういった取り組みの中で給食費の補助が行われているのかお伺いしたい。
北部・農政担当部長:
食育の観点もあるが、農業者の支援としての学校給食の補助事業については「学校給食食材供給事業」がある。この事業については、市内産農産物を小学校給食の食材として供給した農業者などに対して、出荷に要する経費の一部を補助するもの。この事業を推進して、給食への安心安全な市内産農産物の利用拡大を図っている。
渡辺議員:
食育の観点から少し違った観点から答弁をされたが、市としても必要な経費は給食の方に補助している、というお話だったかと思う。農産物の活用という観点から話を広げていきたいと思うが、三鷹市では農業振興の観点から、学校給食市内農産物活用事業補助金というものを作り、小中学校の児童および生徒が市内農産物を食する機会を増やし、食育の推進、および市内農産物の地産地消を推進し、市内農業の振興を図ることを目的として、市内農産物の購入費の20%を補助している。町田市でも三鷹市のような事業を行ってほしいと思う。これが実現すれば、生産者の収入の安定にもつながるし、農業振興に寄与しながら学校給食費の保護者負担を抑えることができる。まずその第1歩として、学校に補助金を出し、地場野菜の学校給食での使用を促進する事業を行ってはいかがか。
学校教育部長:
食育推進のためであるとか、地場産野菜を使って給食を提供することについてですが、町田市の事例として、小学校の給食におきましては、町田産の農産物を活用したまちベジ給食というのを7月と12月、すべての学校で食育推進の一環として実施している。こちらのまちベジ給食は、日々提供している給食と同様に、各学校の年間を通じた献立作成の、予算の中で実施しているもの。そのため、イベント給食として、その食材に対して、特別に保護者に対して負担を求めるというのは考えていない。
渡辺議員:
先ほどの食育の話で言いますと、文京区の「和食の日」というのがイベント化しているわけだが、ぜひまちベジ給食でも「まちベジ給食の日」みたいなものを作って、そこの日の給食費については市が補助をするような施策を行ってほしいと考えている。
また、先ほどの三鷹市の事例では、農業振興の観点から、農産物の生産向上に向けた補助が行われている。これから中学校給食がスタートし、需要が増えていく。現在のままでは需要を満たせず、学校給食における地場産農産物の使用は低減するのではないかと自分は危惧している。そういった意味では、農業振興を目的として補助金を出し、生産者の収入を安定させ、担い手不足を解消し、かつ子供たちにも安心して安全な農産物を食べてもらう、その結果として家庭への負担が軽減できるというのは、私は本当にすばらしいと考えている。三鷹市のこの事例は、前向きに制度研究していただきたい。中学校給食をスタートすることをきっかけに、あらためて町田の農業をどうしていくのか、生産者である農家さんや事業者さんに任せず、農業と学校給食のコラボによる農業振興を考える時期にきているのではないか。
これまでの議会でのやり取りから、学校給食無償化にかかる予算は食材費等17億円とされている。そこから就学援助世帯の1億円を控除分として差し引けば、16億円をどのように作っていくかという考え方になっていくと私は考えている。この16億という金額をねん出することが難しいということは理解しているが、いま紹介した他自治体の事例などを研究していただき、就学援助をまずは正しく捕捉していくこと、そして多子世帯支援としての子育て予算を活用すること、食育推進策として献立を作成し予算を活用すること、農業振興として生産者を支えるために農業予算を活用すること、こうした財源を積み上げていくことで、結果として自治体単体での学校給食無償化は難しくとも、学校給食にかかる家庭の負担を軽減していくことは、私は可能だと考えている。
中学校給食のスタートを契機に、役所の縦割りの垣根を越えていただき、オール町田で学校給食プロジェクトチームを立ち上げていただき、限られた税金を市民に対して最大利益化していただきたい。この(2)の部分では、学校給食を複合化し、家庭負担の軽減をテーマに質問させていただいた。今後も行政側の様々な背景を推察、分析しつつ、めざす給食無償化という山が大きいのであれば、まずはアプローチ方法を変えて違う視点から引き続き提案をさせていただきたい、と申し上げて本議会での私の一般質問を終えさせていただく。
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