新方式は「全員制、市所有施設、食缶方式が望ましい」――12月の学校給食問題協議会レポート

2020年11月18日より、町田市学校給食問題協議会では、「新たな中学校給食の提供方式について」検討が行われています。
遅ればせながら、12月18日と23日の協議会の内容を傍聴しましたのでレポートします。(11月18日の傍聴レポートはこちら、市の議事録はこちら

※上画像は独自作成資料であり、市の資料ではありません


【12月18日】

●重点項目と取組項目について

この日初めて、事務局から、町田市の「新たな中学校給食提供方式の検討にあたっての重点事項と取組項目」が発表されました。

学校給食法及び学校給食実施基準を踏まえ、以下の5つの重点項目と7つの取組項目を設定したそうです。

《重点事項1  安全安心な学校給食の提供》

  取組項目1  衛生管理の徹底

  取組項目2  食物アレルギーの対応

《重点項目2 栄養バランスが整えられた魅力的な学校給食の提供》

  取組項目3  給食の適温提供

《重点項目3 食育及び地産地消の推進》

  取組項目4  さらなる食育の充実

  取組項目5  地産地消の推進

《重点項目4 持続可能な学校給食の提供》

  取組項目6  安定した学校給食を提供できる体制の整備

  取組項目7  新たな提供方式の早期実現


●具体的な方式の検討

選択制か全員か、ランチボックスか食缶か、市所有施設か民間調理場かについて、事務局が現行方式(選択制×民間調理場×ランチボックス形式)以外の組み合わせ計6パターンに対し、各取組項目の実現性を比較した資料が提示されました。

それぞれ点数がつけられており、その総合点数から

1位…全員制×市所有施設×食缶形式

2位…全員制×市所有施設×ランチボックス形式

3位…全員制×民間調理場×食缶形式

4位…全員制×民間調理場×ランチボックス形式

5位…同率で選択制×市所有施設×食缶形式、選択制×民間調理場×食缶形式

という結果に。


これまで町田市では、「家庭弁当を持参したい方と給食を利用したい方の双方の意見を尊重するため」「食育の観点で、生徒自身が食を選択できることがよいため」として選択制を維持してきましたが、今回、選択制給食は次のような点で全員給食よりもデメリットが大きいと示されました。

・家庭弁当が個人ごとの衛生管理になる

・給食を通じた食育が難しい

・地場産物の利用量が全員給食よりも少なくなる

・全員給食よりもコストは低くなるが、利用者が少ないと1食あたりの運営費が高くなる

・利用者数を予測しての施設建設が難しい


市の結論としては、「これからの中学校給食においては、成長期にある中学生の心身の健全な発達に資することができる給食を現状より多くの生徒に適温で提供し、学校給食を通じた食育をさらに推進することが重要」「これまで課題であったアレルギーに対応した給食の提供や、新たな課題である非常時・災害時における柔軟な対応を可能とする安定した運営体制が求められる」「全員給食であれば小学校から中学校まで継続的・段階的に給食を活用した食育をさらに推進できる」

ことから、1位の「全員給食、食缶形式、市所有施設が望ましい」とされました。

なお、民間調理場では地場産野菜を受託可能な施設がないことから、取組項目5の「地産地消」が進めにくいということでした。


●委員の方々からの意見

・中学生は体をつくる最も大事な時間なので、格差なく全員で食べてほしい。

同じものを食べることで同じ時間を共有し、生きた教材として活用して体や健康についても考えることができると考える。

・小学校と同じであればスムーズに移行できるし、全員に同じものを提供できれば生徒たちに栄養バランスも考えて食べてもらうことができる。アレルギー対応については、小学校で今やっていることを中学校でもできればよいと思う。

・食缶になると5-10分延長しなければいけない。可能だと思うが、先生たちの負担が気になる。(コロナ禍のような)学校がなかなか落ち着かない状況だと食缶形式は厳しい。

ランチボックス形式では、昼食時間は「食べること」に重きを置いた時間になっている。今めざそうとしている方式では、「教育」という面に重きを置くことになる。みんなで適量のものを分けながら食べることや、地産地消について学ぶ時間にするのかどうかを、教育現場は考えていく必要がある。配膳時間は当初は長くかかるかもしれない。また学年によっても違うだろうが、そのうち慣れると思う。

・配膳指導や、栄養士の食育指導も必要になるが、給食としては教育的な視点を入れるのが望ましいのでは。

・中学生には「個」の視点も大事と思っていたが、全員給食の説明を聞いて素晴らしいと思った。食べることへの意識が軽くなっている昨今だが、町田市のおいしい野菜を食べて地産地消を学んでほしい

・今回のコロナや、今後も起こるかもしれない地震などの災害が発生した場合、給食施設があれば子ども達だけでなく地域住民も恩恵を受けることができるかもしれない。学校で自校もしくは親子方式で給食が食べられるとならば、素晴らしい教育になるのでは。

・選択制ランチボックス形式は、家族のよさを感じられる機会でもあるが、給食の時間には教科とは違う価値が見出されると思っている。

・前回までは、生徒の気持ちを尊重したい気持ちがあったが、食育も重要であると考えるようになった。ご家庭の負担を減らすことも考えると、方式を変更するのであれば、全員一律にしたほうが受け入れられやすいのではと考える。

・小学校給食のアンケートでは、子どもの意見として「1年生のころ嫌いだったものを4年生で食べられるようになった」「栄養バランスがよい給食をありがとうございます」などの声があがっていた。ランチボックス形式でもバランスを考えられているが、喫食率があがらないのであれば全員給食で食缶形式がよいと思う。

・食べることは一生の行為なので、(給食を通して食を学ぶ)環境をつくることで、食事を大事にできるような子どもを育てていきたいと思う。

・家庭弁当も子どもは喜んでくれるが、どうしても栄養が偏る。小学生の子どもに「給食の献立をつくってほしい」といわれたが、家庭で再現するのが難しかった。給食の時間を楽しんでいるので、全員給食がいいのではと思う。

・給食では、少し嫌いなものもあっても、みんなで食べると食べられるということがあるので、全員給食がよいのでは。

・給食は薄味だが、子どもたちにはちょうどよい味付けとなっている。濃い味付けになれている子どもは「薄い」と思ってしまうようだが、本当の味を知るには給食はいいのではと思う。配膳時間は、小学校での経験があれば、それほどあたふたすることはないと思う。

栄養士は、給食を作るだけでなく、その先にあるものを考えながら作っている。世界の料理、郷土料理を取り入れながら、栄養士が教室に回って説明をしたり、今日の野菜はどこのもので旬の食材であるというような話を伝えている。また、給食ではなんでも食べられて好き嫌いが減るという力もあるのではないか。

・前回までは、アレルギー対応のために選択制がいいのではと思ったが、食缶形式でアレルギー対応ができるならばよい。

・配膳時間の面を考えるとランチボックスだが、食缶形式が望ましい。中学生は慣れるのが早いから時間が解決できるのでは。

配膳すると量が足りない時、余る時もあるだろうが、それについて学ぶことにも意義があると思う。


●市所有施設か民間事業場かについて

「市が責任をもって管理してほしい」「アレルギー対応のことを考えると市の施設がよいのでは」といった意見から、市所有施設がよいのでは、という考えで一致しました。

なお、事務局からは「市所有施設とは、町田市が管理する施設であり、市が監督管理を行うが、調理まで直営でやるものではない」と説明されています。

町田市では小学校給食調理の民間委託化が進んでいるため、中学校給食においても調理が民間委託される可能性はあります。


【12月23日】

●自校か親子か、センターかの検討

この日は、自校方式か、親子方式(近隣の小学校の給食室で作って運ぶ、あるいは1つの中学校の給食室でまとめて作って2つの中学校へ運ぶ)か、センター方式かについての検討が行われました。

前回同様、事務局の比較表に基づいての検討となりましたが、取組項目1~4についてはどの施設方式でも大きな違いがないため、特に

 取組項目6  安定した学校給食を提供できる体制の整備

 取組項目7  新たな提供方式の早期実現

について重点的に比較することになる、と説明されました。


・自校方式のデメリット

取組項目7の「早期実現」という点において、「校舎等に影響を及ぼさずに給食調理室を新設できるのは5校しかない」「校舎等の改築を伴って残りの中学校14校に給食室を新設する場合、全校の工事完了までに20〜35年かかる」と説明されました。


・親子方式のデメリット

小⇒中の親子方式の場合「親校(小学校19校)のうち、既存の給食室のまま、あるいは大幅改築を伴わず増築できるのが6校しかない「残りの親校(小学校13校)の給食室を増築する場合、全校の工事完了までに20〜35年かかる」、さらに「親校の小学校の給食室を工事する期間は、小学校の給食もストップしてしまう(約6ヶ月〜1年間)」と説明されました。

ほかに小⇒中の親子方式のデメリットとして、取組項目6の「安定した体制」において、「運動会代休などで小学校が休みだったら中学校給食も休みになってしまうなど柔軟な対応が難しい」「必要栄養量が異なるので、中学生にはもう1品作るなどの対応が必要となる」などの点もあげられていました。


・センター方式のデメリット

「食中毒の場合被害が大規模」「学校ごとの献立や行事にあわせるなど、柔軟な対応が難しい」「広大な敷地が必要となる」などがあげられました。


これらすべてを点数化して総合点数が出され、「将来的な生徒数の増減も踏まえた学校統廃合や老朽化が進む中学校の改修工事等を視野に入れた上での全中学校への早期実施の『実現性』がなによりも重要である」として、「市としては給食センターが望ましいと考える」という結論が出されました。

なお、「用地確保はこれからであるが、用地確保後4~5年程度で施設を建設できる」「45分以内に配送できる場所に建てることを考えた場合、町田市は広いためセンター1カ所ではカバーしきれず、2カ所でなんとか全校に配送できる。できれば3カ所建てられるとよい」とのことです。


●委員の方々からの意見

・親子方式が現実的かと思っていたが、早期に対応可能なほうがよい。

いちばん早くできる方式がよいが、自校とセンターで悩ましい。

・現場で働く方の声をきくと、自校式がいいようだ。

・自校式では生徒数が増え教室も足りないので、実現性を求めるのであればセンターがいいと思う

・なるべく早く給食が提供できる方式にしほしい。

・親子方式は自校の次によいが、ほかの学校から運ばなければいけないので、結局、台車や食器などさまざまな物品等の入れ替えが必要となる。現実的なのはセンターではないか。

センターになるにしても中学校の改築は必須で、配膳車を使うのであればエレベーターの設置や段差の解消なども必要となる。おいしさは格段に上がるが、センターができれば終わりではなく、やはりお金と手間はかかる。

・自校、親子では整備に時間がかかるのがネック。

・もし自校式ならば、各学校のおまけメニューなど独自性が出しやすいというメリットはある。昔の勤務校で経験したセンター給食は、自校に比べて味が均一的でもう少し工夫が必要と感じたが、センターでよいのでは。

センターでは大前提として建設地の確保が必要となる。2カ所もしくは3カ所の用地を確保できる見通しはあるのかが気になる。


以上のような意見を踏まえ、事務局側から、「いずれにしても、具体的に配膳をどうしていくか、受け取る側の整備をどのようにしていくかは方式が固まってから考えなければいけないと思っている。少なくとも配膳室まわりの整備が必要になる」「用地の問題はいちばんの課題と考えている。まずは町田市が所有している土地の活用ができないかを中心に調整しているが、工場扱いになるため用途変更の申請が必要となるところもある。それらの条件がクリアできるかどうか、ステップを踏んで進める必要がある。ただし自校・親子と違って20年30年かかるものではない」といった説明がされました。

全体的に「センターで」という結論にはなったものの、委員の方々から「本当は自校式がいいが…」という意見も多数出ていたため、「次回(1月12日)に再度意見を伺いたい」としてこの回は終わりました。


●傍聴しての感想

とにかく「自校方式、親子方式では時間がかかりすぎる、センターで」という市の意向のようです。

私たちは、巨大な1つのセンターを建てて、広い町田市全域の中学校に配送しようとすると、遠い学校では結局冷めてしまうおそれがあると考えていたため、センターは2つか3つがよいと提示されたことには少々ホッとしました。

ただ、今回提示された案がセンター一択で、「できるところは自校や親子で、残りはセンター」といったやり方について何も説明・提示されなかったことが疑問として残っています。(他自治体では、そのような合わせ技で実現しているところが多数あります)


なお、事務局側の資料としては、自校方式・親子方式について「現状の給食室や増築で、全員給食を前提とした必要食数に対応できるかどうか」を全19校で検討した表が提示されていました。

それによると、

・自校:町田第二、南、南成瀬、木曽、小山田(計5校)

・小⇒中親子:成瀬台、南成瀬、薬師、金井、山崎、木曽(計6校)

・中⇒中親子:南成瀬、町田第二、木曽(計3校)

で可能とされており、このうち南成瀬と町田第二、木曽は重複していることから、「町田第二、南、南成瀬、木曽、小山田、薬師、金井、山崎の計8校については、自校か親子で可能」ということになります。

しかし、「これらの8校では自校か親子で進め、残り11校をセンターで」という話が出なかったのは、やはり学校統廃合や、老朽化した既存校舎を順次建て替える議論が進んでいる現状があるためではと感じました。

あくまでこちらの推測ですが、市の「まちだの新たな学校づくり審議会」資料をみると、「忠生中+小山田中」「薬師中+金井中」「町田第三中+山崎中」が統合対象となっています。また、親校に想定されている小学校にも、統合対象となっている(=いずれ廃校になる可能性のある)学校が含まれています。

今回の市の資料は、あくまで「単独校として」考えた場合でしか検討しておらず、統合すると必要食数も変わってきますし、統廃合のスケジュールに沿って順次大幅改修等を行うならば、何年何十年とかかるケースも出てきてしまうのかもしれません。

そもそも「まちだの新たな学校づくり審議会」が同時進行で、35人学級の議論も出てきたなかで、中学校給食の実現との兼ね合いまで考慮していられない可能性もあると感じました。


1月12日、そして答申が出されるであろう1月18日の協議会は、緊急事態宣言の影響で残念ながらオンライン開催、傍聴不可となってしまいました。どのような話し合いが行われているのか、「まちだ子育てサイト」での資料・議事録公開が待たれます。

なお、朝日新聞さんの取材によると「給食センター建設には、一つ30億円程度かかる」そうですが、コストの話は3月の市議会定例会で話題になるのではないかと感じています。

中学校によりよい給食とどけ隊@町田

東京都町田市の中学校に、小学校のような全員給食を実現するため、活動しています。 2018年12月の町田市議会に23,168筆の請願署名を提出しましたが、不採択でした。 町田の中学生が、家庭の格差に関係なく、温かくおいしい給食を食べられるよう、これからもがんばります。 メール➡︎machidanokyusyoku★gmail.com(★を@に) Twitter ➡︎@machidakyusyoku

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